問題
・n-3系多価不飽和脂肪酸に分類される薬剤として、本邦では( )と( )が発売されている。
・イコサペント酸エチルは(食直前・食直後)に 服用する。
・肝臓において、( )の転写を抑制し、TGの合成に関与する種々の酵素の発現を抑制する。
・EPAは、肝臓での( PPARα活性・HMG-CoAレダクターゼ阻害 )作用により、(スタチン製剤・フィブラート製剤)と同様の薬効を発揮する。
・抗血栓剤として、( )と競合することにより、血小板( )作用と血管( )作用を示す。
・EPA製剤の血管収縮抑制作用は( )の産生量低下に起因する作用である。
解答
・n-3系多価不飽和脂肪酸に分類される薬剤として、本邦では(イコサペンタエン酸エチル(EPA製剤))と、(EPA・DHA製剤)が発売されている。
・EPA製剤は(食直後)に服用する。
・肝臓において、(SREBP-1c)の転写を抑制し、TGの合成に関与する種々の酵素の発現を抑制する。
・EPAは、肝臓での(PPARα活性)作用により、(フィブラート製剤)と同様の作用を発揮する。
・抗血栓剤として、(アラキドン酸)と競合することにより、血小板(凝集抑制)作用と血管(収縮抑制)作用を示す。
・EPA製剤の血管収縮抑制作用は(TXA2(トロンボキサンA2))の産生量低下に起因する作用である。
ポイント
高脂血症剤だけでなく、抗血小板剤での作用機序もしっかり押さえておく!
薬理だけでなく服用タイミングも狙われやすいため、理由も含めて押さえておく!
アラキドン酸カスケードは抗血栓剤を理解するうえで重要なので、しっかりと頭に入れておく!
~抗血栓剤としての作用機序~
①血管内皮細胞 / 血小板それぞれから血小板凝集を 促進する物質(TXA2) / 抑制する物質(PGI2)が合成・放出されてバランスを保っている。

②EPA/DHA製剤は各々の細胞において出発物質であるアラキドン酸と競合して血小板凝集抑制を抑制する方向にはたらく。

※TXA3は特に血小板凝集能が弱いため、結果として抑制が優位状態となる。また、TXA2には血管収縮作用もあるため、分泌量低下により血管も拡張する。
※EPA製剤はその他、「単球のプラークへの接着抑制作用」、「プラーク安定化作用」、「プラークから発生する活性酸素種の産生抑制作用」などにより、抗動脈硬化作用を示すと考えられている
臨床現場では?
・臨床ではEPA製剤、ω-3系多価不飽和脂肪酸など、様々な呼ばれ方をしている。
・抗血栓剤としての適応があるのはEPA製剤であり、閉塞性動脈硬化症に伴う疼痛や冷感の改善などに用いられる
・EPA・DHA製剤は増量でより効果が期待できるため、EPA製剤効果不十分例に切り替えで用いられることが多い。
・薬剤が難溶性のため、胆汁酸によるミセル化を介した吸収促進を目的に食直後の服用となる。
・高脂血症剤として使用する場合は作用の裏返しである出血傾向に注意する。
その他
グリーンランドで生活するエスキモー人には狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患が少ないことをヒントに研究/開発された薬剤。
アメリカ心臓協会では、EPAやDHAをサプリメントとして1 g/日以上(高中性脂肪患者は2~4 g/日以上)の摂取を推奨している。
参考

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